
『サチコのおばあちゃんのはなし』
サチコには、おばあちゃんがひとりいる。
認知症である。
先日、サチコと 姉のユウコと おばあちゃんを訪ねていった。
サチコのことは、とうの昔に”娘さん”になっている。
まるで映画のエキストラのようだな・・・と感じるが、おばあちゃんはおばあちゃんの
世界を生きているのだなぁ~。
ちょうどお昼ごはんを食べる時間。
体は健康なおばあちゃんは、食欲旺盛。
自分で箸を持って、”もぐ もぐ もぐ・・・”とすごい勢いで食べる。
”もぐ もぐ もぐ ・・・・”
”もぐ もぐ もぐ ・・・・”
ん?何か聞こえる。
姉のユウコに 「何か言ってない?」 と問うと・・・
耳を傾けた姉が
「ありがとう ・・・って言っとるよ」
と答えた。
”もぐ もぐ もぐ ありがと”
”もぐ もぐ もぐ ありがと”
・・・と一口食べるごとに 「ありがと」 と呟いているのだ。
食べ物を、ありがたくいただく。
”何か” を忘れても ”ありがとう” の言葉を覚えている。
そんな人でありたいなぁ~。