『ハエ、とまる』
お店で片づけ中の出来事。
ドアを開けると、一匹のハエが入ってきました。
サチコのまわりを旋回したかと思うと、肩にとまる。
旋回したかと思うと、背中にとまる。
実に、嫌な感じである。
ハルちゃんから、
「着ている服がウ○コ色してるからじゃな~い?」
と言われ、サチコは
「違う!木の色だからだよ~!」
と強く反論。
頑なに反論。
(どうして、そこまで・・・反論)
ただ、心の中では・・・
”はっ! もしかして臭うからか??
確かにすごく汗はかいたけど・・・そこまで臭くは・・・”
(くん、くん、と自分のにおいを嗅いでみる)
”うぅ~ん、大丈夫だよなぁ~。
はっ! もしかして加齢臭か??
加齢臭がするのか??
この私からぁぁぁぁ~?!
いや、そうじゃない、そんなはずはない・・・。
うん、違うな。うん、違う。”
・・・と、たかがハエに思いは葛藤するのである。
そのうち、ハエはまたもや旋回し、今度はサチコのひとさし指にとまる。
じ~っと指にとまるハエを見ていると・・・
指輪に見えてきた。
ハエの指輪・・・実にうれしくない。
できれば、キレイなものに囲まれたいものだ。
できれば、キレイな指輪がいい。